日本にあるレバノン杉―日本・レバノン交流の一側面
霞関会会員 竹内春久
はじめに
レバノンスギ(レバノン杉)はレバノン、シリアの高地を原産とするマツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹である。高さは約40メートルに達し樹齢1000年を超えるものもある。
その威容は古代オリエント最大の文学作品である『ギルガメシュ叙事詩』にうたわれ、聖書でも「麗しき枝と森の陰があり、たけが高く、その頂は雲の中にある」(エゼキエル書31章)と記されている。木材としても優れ、古代エジプトやメソポタミアの時代から建築、造船に使われてきた。長い間の伐採の結果、現在レバノンでは数か所に群生しているにすぎない。この内、レバノンのカディーシャ渓谷に群生するレバノン杉は1998(平成10)年に「カディーシャ渓谷と神の杉の森」としてユネスコの世界遺産に登録されている。
レバノン杉はレバノン共和国国歌に「杉はその誇り 不滅の象徴なり」とうたわれ、その姿は国旗、紙幣、硬貨、切手、勲章などに広く使用されている。
日本との関係では1990年代に日本のNGO「国際レバノン杉協会」がレバノンにあるレバノン杉の再生に取り組み成果を上げた。
2024(平成6)年は日本とレバノンの外交関係70周年に当たる。そこで本稿では日本にあるレバノン杉について文献、関係機関への照会、ネット情報などに基づいて概観し、それぞれの由来についても可能な限り記すこととする。
日本にあるレバノン杉―概観
レバノン杉が日本に入った時期は明治であるが確定する資料は見つからない(『東京の自然と公園のニュース ひろば No.19』東京都公園協会、2000年)。本稿で取り上げるレバノン杉についてもいつ、どこを経由して渡来したのかなどその由来が明らかでないものが多い。ただし、戦後に植樹されたものについてはレバノンから直接渡来したことを確認できるものが多い。
これらのレバノン杉の一部については遺伝子解析が行われている(「日本国内に植成されるヒマラヤスギ属植物のDNA同定」、『植物研究雑誌』第96巻4号。文中*印で表示。)。その結果、従来レバノン杉とされていた木の中には、レバノン杉とアトラス杉、ヒマラヤ杉との交配種、更にはアトラス杉、ヒマラヤ杉であることが明らかとなったものがある。
本稿の目的はレバノン杉をめぐる日本とレバノンの交流、人びとがレバノン杉に寄せてきた思いに焦点を当てることにある。そこで本稿では、その旨を明記したうえで、上記の交配種もレバノン杉の仲間として扱うこととする。
その上で、文献などに表れるレバノン杉の所在地は以下の通り(順不同)。
〇新宿御苑*
〇東京大学小石川植物園*
〇東京大学田無演習林(レバノン杉とアトラス杉の交配種)*
〇旧モーガン邸
〇旧目黒区役所
〇国際基督教大学キャンパス*
〇高知市立高知商業高等学校
〇大阪教育大学キャンパス*
〇兵庫県立農林水産技術総合センター森林林業技術センター樹木見本園
〇一橋大学小平国際キャンパス*
〇西南学院大学聖書植物園
〇桜美林大学町田キャンパス
〇京都府立植物園*
以上とは別に、本稿ではレバノン杉に関連する情報がある以下の場所についても簡単に言及した。これらの事例の中にはかつてレバノン杉があるとの記録があるが現在では失われたもの、従来レバノン杉とされていたが誤認であったもの、レバノン杉があるとの情報があるが確認できないものなどが含まれる。
〇森林総合研究所多摩森林科学園
〇都立林試の森公園*
〇東京女子大学*
〇赤坂離宮
〇都立目黒高校
〇東京都庭園美術館
〇都立日比谷公園
〇都立砧公園
日本におけるレバノン杉―各論
〇新宿御苑(東京都新宿区、渋谷区)*
明治時代の代表的西洋庭園。1872(明治5)年に国営の農業試験場が創設され、宮内庁の御料地を経て、1906(明治39)年に皇室庭園として誕生した。1949(昭和24)年に国民公園として一般に公開された。国民公園協会新宿御苑が環境省からの委託を受け維持管理している。
遺伝子解析の結果、新宿御苑にはレバノン杉が2本、アトラス杉とレバノン杉の交配種が19本、ヒマラヤ杉とレバノン杉の交配種が1本確認されている。
これらの木が新宿御苑に植樹された時期、経緯などは不明である。
〇東京大学小石川植物園(東京都文京区)*
1684(貞享元)年に幕府が設けた小石川御薬園を遠い前身とする日本最古の植物園。1877(明治10)年、東京大学が設立された直後に付属植物園となり一般にも公開されてきた。
遺伝子解析の結果、鉢植えされたレバノン杉2本が確認されている。1本は1995(平成7)年に、他の1本は1996(平成8)年に日本のNGO「国際レバノン杉協会」によりレバノンで採取された種を育成したものである。同協会は1995(平成7)年から1997(平成9)年にかけて北レバノン、ブシャーレにあるレバノン杉の蘇生に取り組んだ。
〇東京大学田無演習林(東京都西東京市)(レバノン杉とアトラス杉の交配種)*
遺伝子解析の結果、従来レバノン杉であるとされてきた木がアトラス杉であることが判明した。
田無演習林にはこのほかに、従来アトラス杉であるとされてきた木も存在するが、遺伝子解析でレバノン杉とアトラス杉との交配種であることが判明した。
>>東京大学田無演習林から聴取した内容(2023年2月)から筆者作成。
>>田無演習林維管束植物目録 2019 年度改訂版
(東京大学学術機関リポジトリ:https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/26166)
>>前掲『東京の自然と公園のニュース ひろば No.19』東京都公園協会、2000年、p5
〇旧モーガン邸(神奈川県藤沢市)
旧モーガン邸は1931(昭和6)年に建てられたJ.H.モーガンの自宅及び庭園。レバノン杉は庭園にある。
Jay Hill Morgan(1873-1937)は米国の建築家。1920(大正9)年に来日し、1937(昭和12)年に横浜で亡くなるまで山手聖公会教会、山手111番館、横浜外国人墓地山手門など多くの作品を設計した。
現在旧モーガン邸の保存に向けて民間の活動が行われている。
>>『湘南庭園文化ツーリズム』湘南庭園文化祭連絡協議会、2019年
https://www.mlit.go.jp/common/001310187.pdf
〇旧目黒区役所(東京都目黒区中央町2-4-18)
1936(昭和11)年、目黒区中央町に完成した庁舎で、本庁舎が2003(平成15)年に現在の場所に移転するまで区役所の所在地であった。現在跡地には民間の建物があるがその一角(水道局目黒営業所バス停近く)に2本のレバノン杉がある。
これらのレバノン杉がいつ、どのような経緯で植樹されたのかは不明。『林業試験場内の植物』(農林省林業試験場、1949年。目黒区八雲中央図書館蔵)には目黒区役所前のレバノン杉への言及がある。『目黒区史』(1961年、972p)によれば旧目黒区役所は1945(昭和20)年5月の空襲により一部が消失している。これらの木が旧区役所開所当時に植樹されたのであれば彼らは戦災を生き延びたことになる。
2015(平成27)年、これらのレバノン杉は目黒区により保存樹木に指定された。樹木番号は第874号及び第875号。
(写真)旧目黒区役所前にあるレバノン杉(筆者撮影)
〇国際基督教大学キャンパス(東京都三鷹市)*
1955(昭和30)年6月、横山忠雄農林省蚕糸試験場長はレバノンから養蚕技術指導の要請を受け、フランスで開催された国際会議の帰路レバノンに短期間滞在し、任務を果たした。横山氏は帰国に際しカミーユ・シャウムウーン大統領からレバノン杉の苗木三本を贈られ、帰国後一本を農林省林業試験場に、二本目を先輩の某氏に、三本目を国際基督教大学に寄贈した。国際基督教大学(ICUアーカイブス)によれば、横山氏は帰国後暫時同氏宅で苗木を育てた後、1957(昭和32)年に大学に寄贈した。
同大学には横山氏がレバノンに出張した際にレバノン側から贈られたレバノン国旗が保存されている。この国旗は2018(平成30)年に横山家から寄贈されたものである。国旗のデザインは当時のものでレバノン杉の幹や枝は茶色である。1990年代初めにデザインの変更があり現在ではレバノン杉は緑一色で表現されている。
このレバノン杉はその後幾多の変遷を経て現在は大学キャンパス本部棟近くにある。
遺伝子解析の結果、この木がレバノン杉であることが確認されている。この木はレバノンから直接渡来したレバノン杉としては記録に残る最も古い例である可能性がある。
>>並木浩一「レバノン杉の由来について」1990年1月14日
https://www-lib.icu.ac.jp/Column/CooCooNotch/img/20180705d.jpg
>>「幻のレバノン杉を捜して」国際基督教大学図書館みんなのククノッチ
https://www-lib.icu.ac.jp/Column/CooCooNotch/20180705.htm
>>「キャンパスに植えてあった! 貴重なレバノン杉の由来」ALMNI NEWS vol. 130、Mar. 2019, 12頁
https://www.icualumni.com/wp/wp-content/uploads/2019/06/826b2737b45aef2028d6541c79c80585.pdf
>>『蚕糸年鑑 昭和31年版』(日本蚕糸広報協会、1955年、157p)に以下の記述がある。
レバノン国の要請により、農林省は同国の養蚕業振興の技術援助をすることになり、横山忠雄(蚕糸試験場長)を国際養蚕委員会の帰途、五月二十九日から十日間滞在せしめた。
次いで、夏期蚕飼育の可能性を検討するため技術者の派遣を要請してきたので、日本の蚕種二百キロを持参し、七月二十九日から二か月間竹内好武(蚕糸試験場指導試験部)を派遣した。
〇高知市立高知商業高等学校(高知県高知市)
1980(昭和50)年、創立80周年事業として校舎西庭園に校歌にあるレバノン杉を武井近三郎氏の厚意で埼玉から取り寄せて植樹した。2004(平成16)年には「レバノン杉の碑」が建てられた。
武井近三郎氏は高知県出身の園芸研究家。1955(昭和33)年4月の県立牧野植物園完成から1973(昭和48)年6月まで15年間、技師として勤務し、園の基礎固めに尽力した。
>>『鵬程万里 高知商業高校百周年記念誌』水田和夫/編ほか、高知商業高等学校創立百周年記念事業実行委員会、1999年、175p
>>『高知県人名事典 新版』437p
>>『レバノン杉物語』98-109p
>>校歌(作詞竹村正虎、作曲平井惣太郎、1908(明治41)年)二番
天にそびゆる喬木を
レバノン山の森に伐り
船を作りて乗り出でし
フェニキア人のそれのごと
〇大阪教育大学キャンパス(大阪府柏原市)*
1995(平成7)年、キャンパスの教材用植物を増やすための努力を重ねていた大阪教育大学加藤健一教授(当時)の熱心な希望を受け、兵庫県在住の石黒マリーローズ女史(当時英語科講師)が在京レバノン大使に働きかけた結果、同大使館を通じレバノン杉の苗木が寄贈された。このレバノン杉は大学キャンパス内にある付属図書館近くに植樹され現在に至っている。
この木は遺伝子解析の結果、レバノン杉であることが確認されている。
>>加賀友子「加藤憲一先生の思い出」2014(平成26)年2月10日
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~deno/my_hp/kato/topics_lebanoncedar.html
〇兵庫県立農林水産技術総合センター森林林業技術センター(兵庫県宍栗市)
1995(平成7)年の阪神淡路大震災を受け、震災からの復興を願い石黒マリーローズ女史の尽力により、レバノン農業大臣から駐日レバノン大使に送られてきた苗木が兵庫県に寄贈された。このレバノン杉は森林林業技術センターで育成され現在は樹木見本園で見ることができる。
>>兵庫県立農林水産技術総合センターHP
https://hyogo-nourinsuisangc.jp/archive/17-zakkan/article/zakkan_2407.html
>>『レバノン杉物語』171-176p
〇一橋大学小平国際キャンパス(東京都小平市)*
1999(平成11)年10月、昭和25年一橋大学卒業生(昭和25年会)は卒業 50 周年を記念して小平国際キャンパスに「レバノンスギ」3 株と「こぶし」1株を植樹した。
昭和25年会中村敬太郎氏によれば、このレバノン杉は、駐日レバノン大使の了承を得て、1955 年、「森と文明」旅行団が現地で採取、日本国内で育苗、4年の実生苗を植樹したもので、東大小石川植物園には兄弟苗が育成されているという。
中村氏が言及している「森と文明」旅行団については他に資料がなく不明。またこのレバノン杉が日本に渡来した時期については1955年ではなく日本でレバノンにあるレバノン杉の再生に関心が集まった1990年代半ばのことではないかと思われる。
遺伝子解析の結果、これらの木はレバノン杉であることが確認されている。
>>「緑の回廊」一橋植樹会、2015年
https://hitotsubashi-shokujukai.jp/archive/publication
〇西南学院大学聖書植物園(福岡県福岡市)
1999(平成)年、大学開学50周年記念事業として聖書の植物を日本で可能な限り収集・展示する目的で聖書植物園が開園。現在レバノン杉を含む約60種の聖書関連の植物が集められている。
>>西南学院大学聖書植物園ホームページ
https://www.seinan-gu.ac.jp/shokubutsu/aboutus/
〇桜美林大学町田キャンパス(東京都町田市)
町田キャンパス荊冠堂前に植えられているレバノン杉は、2013年2月、国内外で樹木の再生に尽力していた戎晃司氏から寄贈されたもの。
日本のNGO「国際レバノン杉協会」は1995年から1997年にかけて北レバノン、プシャーレにあるレバノン杉の蘇生に取り組んだ。戎氏は当時自ら開発した漢方薬などからなる活力剤を使い日本国内で松の再生に取り組んでいたが、この活動に私財を投じ数度にわたり現地に足を運びプロジェクトの成功に寄与した。この功績が認められ、戎氏は現地の関係者からレバノン杉の苗木を寄贈され、戎氏はこれを広島市の自宅で育てた。
このほか桜美林学園では以前から「聖書に登場する木」の植樹を行っており、レバノン杉についても2004年以降レバノン現地を訪れた教員、学生が持ち帰った苗木を育てている。
>>『レバノン杉物語』148-170p
>>『森を守る文明 支配する文明』186-194p
〇京都府立植物園(京都府左京区)*
京都府植物園にあったレバノン杉(由来については詳しい記録がなく不明。1930年代に植えられたものか)は、1990(平成2)年、2回目は不明、2017(平成29)年の計3回台風で倒れ、2021(平成3)年に枯死、伐採された。この木は枯死する前に遺伝子解析が行われた結果、レバノン杉とアトラス杉の交配種であることが明らかになった。
これとは別に、2013(平成25)年3月、レバノン政府森林管理局より植物園に「カディーシャ渓谷と神の杉の森」に自生するレバノン杉の種子が突然郵送されてきた。種子には「レバノン杉は絶滅に瀕しているのでぜひなんとか育ててほしい」旨のメッセージが添えられていた。植物園ではそれまで当該機関との交流はなかったが、この種子を出来るだけ育てることとした。現在バックヤードに樹高40㎝程の株が複数個あり、将来的には枯死した木の後継樹として園内に植栽することを視野に置いている。
このほか現在園内にレバノン杉の園芸品種「ブルーエンジェル」が植栽されている。
>>京都府植物園から聴取した内容(2023年2月、3月)から筆者作成。
以上の他、レバノン杉に関連する情報があるものは以下の通り。
〇森林総合研究所多摩森林科学園(東京都八王子市)
多摩森林科学園に残っている資料を見るとレバノン杉は、1987(昭和62)年には第1樹木園にあったようであるが、現在はない。レバノン杉があったころを知る職員は退職してしまい、失われた時の状況はわからない。
導入は戦前ではないかと想像されるが、その経緯については、戦前の資料の多くが八王子空襲により失われており、わからない。
>>森林総合研究所多摩森林科学園から聴取した内容(2023年2月)から筆者作成。
>>『東京の自然と公園のニュース ひろば No.19』(東京都公園協会、2000年、p5)ではレバノン杉がみられる場所として「(中略)私の知る限りでは林試の森公園、新宿御苑、田無東大演習林、多摩森林科学園、目黒区役所前などである」と記している。
〇都立林試の森公園(東京都目黒区、品川区)*
1900(明治33)年、当時の農商工省林野整備局が「目黒試験苗園」を設置。その後「林業試験場」に名称を変更し、林野庁の付属となり1978(昭和53)年まで使用された。筑波研究学園都市の建設に伴い1989(平成元)年に「都立林試の森公園」として開園した。
同公園には従来レバノン杉とされていた木があるが、遺伝子解析の結果、ヒマラヤ杉であることが確認されている。
〇東京女子大学(東京都杉並区)*
遺伝子解析の結果、従来レバノン杉とされていた木はアトラス杉であることが確認された。
〇赤坂離宮(東京都港区)
『朝日百科 世界の植物』(朝日新聞社、1978年、2499p)ではレバノン杉は「東京の新宿御苑や赤坂離宮などで、まれに大木が見られる」との記述があるが、迎賓館が昭和54(1979)年に実施した毎木調査ではレバノン杉は記録されていない。かつての庭園管理者等に確認したり、文献等を調べてみたが、迎賓館にレバノン杉が植えられた記録はなかった。
なお、ヒマラヤ杉については1879(明治12)年に一番最初に植えられた苗木のうちの1本が今でも迎賓館で生育している。
>>迎賓館から聴取した内容(2023年2月)をもとに筆者作成。
〇都立目黒高校(東京都目黒区)
都立目黒高校には杉の巨木があり、校歌、校章に引用されている。この木は一時期レバノン杉であるとされたがその後の調査でヒマラヤ杉であるということに決着した。
>>齋藤敎子「目高の木」、『杉の友 母校創立100周年記念文集』、2019年、12p
>>『めぐろ同窓会会報』第11号、1985年
〇東京都庭園美術館
東京都庭園美術館の庭園には樹高約20メートルのレバノン杉がある(台帳には記載されていない)旨指摘する文献がある(『レバノン杉物語』115p)が確認できない。
〇都立日比谷公園
都立日比谷公園にレバノン杉がある旨指摘する戦後早い時期の文献があるが(『林業試験場内の植物』農林省林業試験場、1949年)、その後の関連文献では言及がない。
〇都立砧公園
都立砧公園にはレバノン杉とされる木があり「世田谷区名木百選」にも選ばれていたがその後ヒマラヤ杉であることが明らかになった。現在地元有志によりレバノン産のレバノン杉を植樹するため各方面への働きかけが行われている。
おわりに
本項執筆に当たっては多くの方々のご教示を得た。厚く御礼申し上げる。そのうえで、本稿の記述には筆者の力不足による誤りや見逃した点があるのではないかと恐れる。大方のご叱正を仰ぎたい。
現在のレバノンは苦境にある。幾多の試練に耐えて今もその威容を見せるレバノン杉のように、レバノンがより良い未来に向けて歩むことを期待したい。
(参考文献)
・『ギルガメシュ叙事詩』矢島文夫訳、ちくま学芸文庫、1998年
・大井・東馬哲雄、小牧義輝、出野貴仁、石原志穂子「日本国内に植成されるヒマラヤスギ属植物のDNA同定」『植物研究雑誌』第96巻4号、213-223p、2021年
・安田喜憲『森を守る文明 支配する文明』PHP新書、1997年
・伊藤章治・岡本理子『レバノン杉物語 「ギルガメシュ叙事詩」から地球温暖化まで』桜美林大学出版部、2010年
・堀口松城『レバノンの歴史 フェニキア人の時代からハリーリ暗殺まで』明石書店、2005年
・大久保武「<帰国大使は語る> 世界に広がる人的ネットワークを持つ国・レバノン」
>> 霞関会 (kasumigasekikai.or.jp)ホームページ
(以上)