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東カリブの真珠 ー バルバドス


品田光彦(駐バルバドス大使)

 昨年開設された在バルバドス日本大使館に私が着任して3ヶ月が経ちました。東カリブに位置するこの島国に住んで気づくのは、穏やかな国民性、良好な治安と清潔な町並みです。種子島ほどの面積に人口は約28万人。風光明媚なカリブ海に囲まれたバルバドスの経済は観光によって支えられています。2016年には人口の倍以上、60万人の観光客がこの国を訪れました。国民は総じて、観光客誘致の大切さをよく心得ており、それがこの国の交通マナーの良さや、水道水がそのまま飲めるといった衛生水準の高さにつながっているようです。

 バルバドスは1966年に英国から独立。現在も英連邦国家のひとつで、公用語は英語です。国民の9割はアフリカ系で、その多くは英植民地時代にサトウキビ・プランテーションの労働力としてアフリカから連れてこられた人々の子孫です。その他1割を英国系をはじめとする白人や少数のインド系の人々などが占めています。現在では二大政党制、メディアの自由が根付いた民主主義国家となっており、アフリカ系の人々が中心となって国の運営を担っています。1人あたり国民所得は約1万6千米ドルと、カリブ諸国の中では最も高いグループに属し、独立以降、教育に力を入れてきたこともあって識字率はほぼ100%です。治安面では、テロの経験はなく、凶悪犯罪も稀で、カリブ海地域で最も治安が良い国のひとつと言われています。

 良いことばかりかと言うとそうでもなく、目下大きな課題となっているのが国の財政赤字と累積対外債務です。2008年のリーマン・ショックで観光に大きな打撃を受け、その対策が後手に回ってきたことが主な原因ですが、国の規模が小さいだけに外界からのショックに対しては脆弱であることが指摘できます。来年第1四半期に国政選挙が控えていることもあって、経済状況打開のために国際通貨基金(IMF)の本格的支援を受け入れるかどうかということが、現在、国政上の焦点のひとつとなっています。

 外交面では、バルバドスはカリブ共同体(カリコム)域内協力を軸に、島嶼国として気候変動などの分野で一定の発言力を発揮しながら、欧米主要国の動向を見据えつつ堅実な政策をとってきています。

 我が国との関係も良好で、首都ブリッジタウンに我が国が大使館実館を新設したことは官民ともに大変好意的に受け止められています。バルバドスは既にODA卒業国となっていますが、気候変動、環境、防災などの分野では我が国の一層の協力に対する期待は大きく、我々としてはこういったニーズにできるだけ応えていくべきでしょう。ちなみに現在、防災対策の分野で1億円規模の無償資金協力(経済社会開発計画)の実施手続きが進行中です。日本とは距離的に遠く離れていることもあって、観光やビジネス分野での両国間交流はまだまだこれからといったところですが、他方で柔道、空手など日本の武道やアニメといった日本の文化に対する当国国民の関心は驚くほど高いものがあります。本年は日・バルバドス外交関係開設50周年でもあり、当館としては文化・スポーツ・人的交流の促進に力を入れていきたいと考えています。

 カリブ海の東端に浮かぶこの美しいバルバドスを、私は勝手に「東カリブの真珠」と名付けています。今のところ、この国を訪れる観光客の大部分は米国、カナダや、英国をはじめとする西欧諸国の人たちですが、これからは日本の方々にもこの小さな真珠のような島国、バルバドスの素晴らしさをもっと良く知ってもらい、そしてより多くの方々に訪問して頂ければと願っています。(2017年1月記)

在バルバドス大使館

 面積 430平方キロメートル(種子島とほぼ同じ)〈2015年 世銀〉
人口 28.4万人(2015年 世銀)
首都 ブリッジタウン
民族 アフリカ系(約9割)
言語 英語
宗教 キリスト教(英国国教会、プロテスタント、カトリック)、その他
詳細は、こちらをご覧ください。
在バルバドス大使館HPへ