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駐日女性大使インタビューシリーズ 駐日コロンビア共和国 パトリシア・カルデナンス大使に聞く

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第3回は駐日コロンビア共和国大使です。

パトリシア・カルデナンス大使は開発経済、財政の専門家として民間シンクタンク、財務省に勤務、その後ボゴダ市議会議員に当選後、国立銀行協会理事長、豪州兼NZ大使を歴任し、2007年駐日大使として着任、4月末次の任地のブラジルに向けて離任しました。離任直前の多忙なスケジュールの中行われたインタビューでは駐日大使としての7年間、駐日女性大使グループの取りまとめ役としての話などをうかがった。

━━━大使は駐日女性大使グループのDean として女性大使間の交流をはじめ、わが国で活躍している女性との交流活動を進めていますが、このような活動は大使がはじめられたと伺いましたが。

大使:私が7年前に駐日大使として着任した時まだ女性大使は4人だけでしたが、次第にその数が増えてきました。そこで4年前約10人の女性大使と共にその後環境大臣、防衛長官を歴任した小池百合子氏を特別ゲストに招き昼食会を開催しました。それを機に女性大使グループの朝食会や昼食会を継続することを決めました。勿論それとは別に新任の女性大使との会合、例えば1月にはキャロライン・ケネディ大使との昼食会を私のところで開催しました。

最近になって安倍総理の女性を活用する政策が公表されたのを機にそれを支援したいという気持ちと、女性のネットワークを広げる活動を推進しようということで3月に国際女性デー(3月8日)を記念したレセプションを開催しました。なぜか日本では国際女性デーについてあまり盛り上がりません。少なくとも私はそんな印象を持っていましたが、ふたを開けてみると岸田外相、森少子化対策・男女共同参画担当大臣、野田自民党総務会長、松島経産副大臣ほか多くの政府関係者や国会議員が参加してくださり、私たちの活動への支援をふくめ日本政府の真剣な姿勢を知ることができ、大きな成果でした。

━━━大使のそのようなイニシャティブは我々日本女性にとっても大変ありがたい貴重な支援となります。ところで大使が日本に発令となった時のことを少し御話しください。

大使:話があった時私は大変うれしく思いました。日本が重要な経済国であり素晴らしい国であることは知っていました。私が初めて訪日したのは1987年、当時の輸出入銀行の招待で財務省のインターンとして約2カ月滞在し日本経済や日本全般について学ぶ機会を得ました。その丁度20年後に再び日本に来ることができ運命的なものを感じました。

私の主要任務は日本とコロンビアの投資協定、経済連携協定締結の交渉を進めることでしたが、幸運なことに2008年は外交関係樹立100周年にあたり文化の分野でも重要な役割がありました。100周年では両国でそれぞれ幅広い分野での人物交流、文化交流が実施されました。外相の相互訪問をはじめ閣僚クラスの往来、国会議員交流など両国関係が大変盛り上がりました。安倍総理も当時友好議員連盟の一員としてコロンビアを訪問しました。学術面でも大学間交流が進んでいます。いつか天皇皇后両陛下のご訪問が実現することを望んでいますが、年内には高円妃殿下のご訪問が予定されています。

━━━大使にとって華々しいスタートだったようですが、それから7年間駐日大使として、また女性大使として特に記憶に残った出来事についてお話しください。

大使:本当にいろいろなことがありましたが、(1)外交関係樹立100周年に携わったこと、(2)東日本大震災の貴重な経験、(3)そしてサントス大統領の訪日が私にとって忘れがたい三大出来事と言えます。
東北大震災と津波は悲惨な厳しい出来事でしたが、私たちは日本人から勇気、連帯と苦難を跳ね返す力、つまり生きる力を学びました。最も印象的な経験でした。

震災の2週間後、コロンビアからの救援物資を被災地に持っていくためにNGOピースボートの手配でヘリコプターにのって石巻に行きました。その時上空から見た被災地は筆舌に尽くせないほど悲惨なものでした。避難所には沢山の人であふれていましたが、人々はそのような状況でも秩序を守って列に並び礼儀正しく1本のペットボトルの水にも礼儀正しく礼を言っていました。コロンビアからは水、食料品などの物資を運びました。その2週間後には鳩山夫人と共に郡山市にある避難所を訪問し2000人以上の人々と会い、子どもたちにもコロンビアからのおもちゃや本などを渡しました。この時私は日本人を本当に身近に感じることができました。そしてこの後私は北海道から九州まで、40以上の都道府県を公式訪問し出来る限り多くの日本人と会いました。私にとって日本とは日本の人々のことです。

震災の約6ヶ月後、サントス大統領が訪日し、野田総理との首脳会談では両国間の重要な協力関係につき大きな成果が得られました。東日本震災などの災害被害に対する連帯の表明、投資協定の締結を祝い、経済連携協定の交渉開始を話し合うなど正に両国関係のハイライトとなりました。
男性優位社会と言われる日本への大使発令では、女性である外相も躊躇したようですが私自身は日本での経験から何ら問題があるとは考えていませんでしたし、むしろ素晴らしい経験をしました。実際、女性大使であることからどこでも目立つ存在となり敬意に満ちた待遇を受けることができその利点を享受することができたと思います。


━━━日本の女性へのメッセージ

大使:私は以前男性中心の職場といわれていた市議会や銀行に勤めていましたが、今ではこれらの職場にも多くの女性が進出しています。政府内の女性の割合も40%になり、今では14人の閣僚中5人が女性です。世界経済フォーラムの統計(2013年)によればコロンビア女性の社会進出は世界で38位になっています(日本は140位)。既に2003年には所謂クォーター制(30%)が導入されましたが現在は平均で30%をはるかに超える実績を持っています。日本でもいろいろな対策や政策が取られていることを知っていますが、大事なことは女性自身が自立に向けて行動することです。文化を変えることです。その意味でつい先日上智大学、お茶の水女子大学、聖心女子大学などの関係者から提案のあった女性の社会参画をテーマにしたセミナーや講演会などは若い学生に良いきっかけを与えるものとして重要だと思います。そして日本社会全体がこの問題について意識が変わっていくことを期待します。

━━━最後に大使の今後の計画について

大使:既に私の次のポストはブラジルと決まっています。5月1日には着任しますが、ブラジルはコロンビアにとってもすべての面で極めて重要な国で、私としても大いにやりがいのあるポストです。着任早々サッカーのワールドカップもあり楽しみです。

駐日女性大使グループの幹事はタンザニア大使に引き継がれますが、皆さん大変前向きにグループの活動にも参加してくれていますので今後もKWA(霞関会女性会員の会)との交流が盛んになることを願っています。
一方で大好きな日本を離れる寂しさもあります。私の弟は日本で長年にわたり会社を経営していますので、これからも時々来日する機会もあると思いますのでその時をまた楽しみにしています。

最後に大使のKWAへのご協力に感謝するとともに新任地での益々のご健勝を心からお祈りします。(完)