駐日女性大使インタビューシリーズ 駐日ジャマイカ大使に聞く

クローディア・セシール・バーンズ大使に聞く 駐日ジャマイカ大使
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第1回のインタビューは4年6ヶ月に及ぶ任務を終え8月初旬に離任された、駐日ジャマイカ大使に7月25日虎ノ門のジャマイカ大使館でインタビューを行いました。この紙面を借りてここにバーンズ大使に深謝するとともにますますのご活躍を祈念するものです。

━━━大使にとって日本はどのような国ですか

大使:駐日大使発令が決まったときは驚きました。というのもそれまでの外務・外国貿易省での仕事は欧州が中心で、ベルギーに2回、約10年勤務していました。一度だけ大変短期間当時の外務・外国貿易省アフリカ・アジア・大洋州局に勤務したことがありました。けれども2009年2月来日し、3月に信任状奉呈を済ませるや否や、駐日ジャマイカ大使に任命されたことを幸運で最も光栄なことと感じました。ジャマイカと日本は永年にわたって友好と協力の強いパートナーシップを築いてきましたが、日本は私にとり初めての大使職として忘れがたいところです。来日後しばしばジャマイカ系のアメリカ人歌手・ソングライターで日本でも公演したハリー・ベラフォンテのことを聞かれました。ハリー・ベラフォンテはボブ・マーリー同様日本でのジャマイカの知名度を高めてきました。

日本人の間で自分の祖国がこれほど知られ慕われていることを知ることは最高にうれしい驚きでした。ジャマイカは日本との強いつながりを享受し、誇らしいことに2014年3月には日本との外交関係樹立50周年を祝います。日本との関係は貿易・経済・技術協力そして市民交流に支えられています。良い例として毎年JETプログラムでジャマイカの青年達が来日します。この7月、日本全国の学校に外国語指導助手として派遣される19名の新たなJETプログラム参加者を大使館で歓迎しました。興味深いことに以前学校給食でジャマイカ料理を紹介したいというある学校からの提案をいただいたこともあり、これも日本におけるジャマイカとの関係の好例と言えます。

毎年開催されるOne Love Jamaica Festivalは大盛況でジャマイカと日本の文化の架け橋となっています。例年フェスティバルは5月代々木公園で開催されますが、今年は第9回を迎え週末の2日間で48,000人以上が集まりました。多くの日本の若いダンサーが同時に開催されたワールド・レゲエ・ダンスチャンピオンシップのセミファイナルに挑戦し、8月の独立記念祝賀期間中にジャマイカで開催されるファイナルへの出場を目指しました。
また日本には生活の多方面ですぐに真似できるものがありました。規律正しい日本社会は私たちが模範とすべきものです。私個人としても2年前の東日本震災の際に得た教訓でより強い人間になったと思います。

━━━男性優位社会といわれる日本でどのような経験をされましたか

大使:赴任前、日本に赴任する私が女性であることについて非公式に懸念を表明する人がいたことを思い出しますが、私自身女性であることを意識して仕事をしたことはありませんでしたから大して心配していませんでした。
実際にジャマイカでは公共サービス部門で教師や看護師は女性が大勢です。
また外務・外国貿易省でも70-80%以上が女性です。首相も女性です。ジャマイカでは女性は子供の頃から自立するよう育てられます。そのために女性には教育を受け資格を取ることに多くの関心が注がれています。このことはジャマイカにある西インド諸島大学モナ・キャンパスに男子学生を遙かにしのぐ女子学生がいることからも明らかです。

━━━私たち日本人になにかメッセージがありますか

大使:日本人は他の国や文化に対して強い関心を持ち続けています。そして率先して多くのジャマイカを含む国々との間に強いパートナーシップを築いてきています。このことは賞賛に値することで、これからも続けるべきことと考えます。
ジャマイカ人としては私たちのジャマイカ・ブルーマウンテン・コーヒーが抜群に優れた質と味を持つコーヒー・ブランドとして世界から認められ名声を得ていることは大変な誇りです。ジャマイカはこのブランドを支援する日本からの変わらぬ関心と投資に深く感謝しています。ここで私の任期中大使館を大変よく支援してくださったジャマイカコーヒー輸入協議会(AJIJC)のことを特に申し上げます。

━━━在任中、特に印象に残ったことはなんですか

大使:日本での生活のいろいろな局面、そして多くの場所が印象に残っています。広島を初めて公式訪問し平和記念式典に参加した際深い感動を覚えました。平和記念式典は世界に平和の必要性を改めて強調するものでした。また広島平和記念資料館を訪問したことは長く記憶に残りました。ホテルから見た風景は生まれ故郷のモンテゴベイの山々や美しい海の景色を想わせました。興味深いことに原爆が投下された8月6日はジャマイカの独立記念日で、その意味でいつまでも忘れられないでしょう。
日本やその文化には大変多くの興味深いことがありますので、帰国したらこれらの体験を踏まえ日本について本を書くことが私の夢です。

━━━それは大変ありがたいことです。ジャマイカでは日本について
     一般の人々はどの程度のことを知っているのでしょうか。

大使:ジャマイカでは多くの人が日本のことを知っています。日本文化には強い関心を持っています。若者たちは日本人がジャマイカの音楽レゲエを愛していることを通して日本を身近に感じています。日本には大変活発にジャマイカの音楽家とコラボを組んでいる一流のレゲエ音楽家がいます。またジャマイカに渡航する日本人観光客もいます。このような交流が日本に対する大きな関心を引き出しています。2年前の震災を契機に日本についての関心は一層高まっています。JETプログラムで来日した多くのジャマイカ人外国語指導助手もジャマイカに戻って日本に関する知識を広めています。JETプログラムの他、多くのジャマイカ人が英語教師やレゲエ、ジャズシンガーとなって日本で活躍しています。日本にはすくなくとも二軒のジャマイカ人によるレストランがあります。

━━━大使は在京中南米カリブ諸国大使グループ
     (GRULAC:Ambassadors of The Group of The Latin American
      and Caribbean Countries) のメンバーとしても活躍されていましたね

大使: はい、ジャマイカはそのメンバーです。私は光栄なことに今年1月から7月までGRULACの代表を務めました。また常陸宮妃殿下を名誉総裁に戴く日本・ラテンアメリカ・カリブ婦人協会(The Japan-Latin American and Caribbean Ladies’ Association )のメンバーでもありました。この協会のメンバーは大変活溌で日本や中南米・カリブ諸国の女性と子供の生活に前向きなインパクトを継続して与える重要な慈善事業を行っています。毎年開催されるチャリティバザーはこの協会の主たる資金収集活動の一つとなっています。私はこの協会の会員になってネットワークを広げるという大きな機会を得ることができました、大使館もジャマイカにおける社会奉仕プログラム、特に幼少期教育の分野での関与を促進することができました。

“帰国後はジャマイカ外務・外国貿易省で政策企画の責任者になるとのことですがますますのご活躍を祈ります。
本日は本当にありがとうございました。“

(追記)ジャマイカは神戸に名誉領事館を持ち、ジャマイカ名誉領事は
     上島達司CD注氏。

注CD: The Order Distinction in the Rank of Commander