在沖米海兵隊基地の日米共同用

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元沖縄担当大使 橋本宏

今般明らかにされた2006年のロードマップの見直しとパッケージの切り離しを巡って、政府に是非とも理解して貰いたいことがある。それは、好意的に見たとしても、多くの国民がこれを「米国の都合に日本が乗った」結果と受け取っていることである。政府としては、これに反論することに時間を使うのではなく、これからの日本の進むべき道について、即ちグローバル規模における米軍編成の見直しが行われる中で、自衛隊がどのような役割を担っていくべきかについて、具体的方向性を出していくことに精力を注いで貰いたい。さもなければ、「アメリカの言いなり」ではないかとして、国民の政府不信は深まるだけであろう。

パッケージ方式は、確かに、基地負担軽減と普天間飛行場の辺野古移設の二つを結びつけることで沖縄県民に「圧力」を与える効果があった。沖縄県民はこれを嫌った。他方、パッケージの切り離しが明らかになった途端に普天間飛行場の「固定化」懸念が持ち上がった。これは、基地負担軽減が個々の基地と周辺住民との問題に変質し、普天間飛行場返還問題が全体として次第に風化して行ってしまうことへの懸念である。政府は普天間の固定化は許さないと強調しているが、パッケージの切り離しで、普天間問題が進展する見込みはない。
先日の衆議院予算委員会の集中審議以降自民党が展開している自衛隊の役割強化の議論は傾聴に値する。政府としては、こうした議論の方向性の中で普天間飛行場の問題を捉えることが重要と考える。

即ち、政府としては、今回の米軍再編成問題の中で、自衛隊が米軍の抑止力の一翼を担う在沖米海兵隊の役割をどこまで担うことが出来るかについてよく議論し、その為の整備計画を今後進めていくとの方向性を打ち出すべきである。その上で在沖米海兵隊基地を順次自衛隊との共同使用に持って行き、自衛隊の実力向上に応じて、自衛隊専用の基地へと転換していくべきである。こうしたことを実現するには極めて大きな政治力と長期間にわたる種々の努力が必要になるが、これは努力に値するものと考える。

政府は、普天間飛行場の「固定化の回避」というアプローチではなく、代替施設の建設を前提とする普天間飛行場の「返還」を明確にすべきである。かつて稲嶺知事は普天間代替施設に15年の使用制限を突きつけた。これは現実的な案ではなかったが、基地の固定化に反対する県民感情を踏まえ、新たな恒久的米軍基地の建設を求めるものではないとする主張であり、ここから学ぶべき教訓は大きい。政府としては、普天間代替施設は米海兵隊と自衛隊の共同使用を前提とし、将来的には自衛隊専用の基地にしていくことを明確にすべきである。

政府にとっての喫緊の課題は、沖縄県民の持つ政府不信の念を直視するとともに、米軍再編成の下での日本安全保障政策の在り方、その中での沖縄の占める役割について基本方針をまとめ、県民及び日本国民すべてに対して率直に理解を求めていくべきである。
良しにつけ、悪しきにつけ、2006年のロードマップは老朽化してしまった。普天間飛行場問題解決のための奇策はない。正面からぶつかるしかない。野田総理大臣にはこうした気構えを示して頂きたい。
(2012年2月20寄稿)

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