霞談話室・会員の縁側  群馬県について

 今年は干支でいうと午年(うまどし)である。それに因んで「馬」を県名にもつ群馬県についてお話したい。

 筆者は2011年9月から2年間、群馬県警察本部長として同県で勤務・生活する機会を得た。警察業務が新鮮で密度の濃い貴重な2年間であったが、何よりも県警職員はじめ群馬県民が親切かつオープンに接してくれたのが実に気持ちよかった。

 「上州名物、かかあ天下とからっ風」と言われるように、群馬県では冬場恐ろしい強風が吹く。特に前橋市のからっ風の勢いは激しく、市の平均湿度は約60%だが、風の強い日は20%以下になることもある。この湿度の低さの反映か群馬県民は一般にからっとして恬淡であり、部外者に対してオープンというのが筆者の印象である。

 群馬県、特に東毛地域には日系ブラジル人をはじめ外国人が多数居住している。例えば大泉町では人口約48000人のうち15%以上が外国人であり、その過半数をブラジル人が占める。企業城下町である大泉町では労働力不足解消のために自治体や地元企業が率先して外国人労働者にとって働きやすい環境整備に注力してきたためであるが、部外者にオープンな県民気質も外国人にとって良好な環境の一つと言えるだろう。

 他方、恬淡とした気質が時に自己PR不足や祝事盛り上げ意識の希薄さに繋がっている面もあるかもしれない。様々な誇るべき点があるにも拘わらず、群馬県の全国的な知名度、認知度は低く、例えば2012年の「地域ブランド調査」では全国最下位であった。また、2013年の夏の全国高校野球大会で前橋育英高校が優勝した際、筆者としては、群馬県勢の優勝は1999年以来でもあり祝賀パレード等が大いに盛り上がることを期待したが、意外とあっさりしたもので少々拍子抜けであった。

 群馬県は1871年の廃藩置県によって成立したものであり、江戸時代には高崎藩、安中藩、沼田藩等九つの藩に分かれていた。しかし前橋、高崎を含む地域は古来群馬郡と呼ばれ、それは8世紀の奈良時代まで遡るとされる。命名の由来はこの地域一帯で多数の馬が飼育されていたことだ。当時馬は貴重な財産であり、馬の生産は先進的な産業だった。移動手段や運搬具でもあり、現代の自動車に匹敵する。(因みに、今日の群馬県は世帯当たり自動車所有台数が全国一の自動車王国である。)

 このように馬は群馬県の象徴であり、同県のイメージ・キャラクターは「ぐんまちゃん」でオレンジ色のカワイイ仔馬、群馬県警察のそれは「上州くんとみやまちゃん」で警察官の制服を着た雄雌の馬を可愛く擬人化したものである。どうぞ御贔屓に。

(嶋﨑 郁)